みなさんこんにちは
病院で放射線技師として働いているフミです。
今回はPCR検査をすべての人にしても意味のない、いや意味のないどころか医療崩壊を助長してしまうことを算数?簡単な数学を使って説明します。
なぜこんなことを書こうかと思ったかは一部のメディアやコメンテーター、芸能人などが全員に検査しろみたいなこといいそれを真に受ける人が少なからずいるからです。
すべての希望者にPCR検査をすることは必要なのか?
希望している人がいるのだからすればいいだろうという意見もありますが・・・
そのことを算数?簡単な数学を使って説明してみます
前提条件
100万人を全員検査するとします
有病率は0.2%
有病率とは
有病率は、ある一時点において、疾病を有している人の割合である。
例1000人いたら5人がその疾病を有している
検査の精度は99%
上記のように仮定するときに
ある人が検査陽性の時、本当に病気にかかっている確率を考えてみます
このある人にとっては精度99%の検査なのでまずその検査結果を信じてしまうのですが・・・実際はどうなのか
病気を持っている人
100万人で有病率が0.2%なので2000人
そして検査の精度が99%なので
検査で陽性になる人は1980人
検査で陰性になる人は20人
となります
病気を持っていない人
100万人の99.8%は病気を持っていないので99万8000人は病気を持っていません
検査で陽性になる人は9980人
検査で陰性になる人は98万8020人
となります
本当に病気になっている確率は?
病気を持っている人で陽性な人が1980人
病気を持っていない人で陽性な人が9980人
なので
1980/(1980+9980)≒0.166
となり
ある人が検査陽性の時に本当に病気になっている確率は16.6%なのです
精度が99%と非常に優れた検査でもあるにもかかわらず、上の条件の時は検査で陽性と判定されても本当に病気になっている確率はかなり低いのがご理解していただけたと思います。
そこで前提条件の有病率を変えてみます
前提条件の有病率を20%にかえてみて計算してみる
病気を持っている人が20万人で精度が99%なので陽性と判定を受ける人は19万8000人
病気を持っていない人が80万人で精度が99%なので陽性と判定を受ける人は8000人
となりある人が検査陽性の時に本当に病気になっている確率は
198000/(198000+8000)≒0.961
この前提ならばある人が検査陽性の時に本当に病気になっている確率は96.1%なのです
このことより有病率が低い中で検査し陽性でも実際に病気になっている確率は低く、有病率が高い中での検査は確率が高くなってくるので意味を持ち始めます。
有病率(検査前確率)を上げるには様々なスクリーニングが必要
例えばですが37.5度以上の熱が続いているとか
倦怠感や呼吸困難があるなど
で検査前の確率をあげると精度が高い検査は有効になってきます
ここまでで闇雲検査することは意味がないし、さらに医療機関に負担をかけることが分かったと思います。
医師が検査の必要なしと判断した場合は素直に聞き入れてください。
PCR検査の精度はどれぐらい?
正確には精度ではなく感度と特異度で書かないといけませんが話がややこしくなるため精度と書かしていただきます
日本疫学会のHPによりますと
つまりこの精度の検査を希望者全員にすれば実際に病気になっているけど陰性とだたり、病気になっていないけど陽性と出ることがかなり多くなります。
さらに多くの数を検査しようと思うと、ミスは増えますし、その前にマンパワーも物も足りません。
PCR検査をすべての希望者にしても意味ないことのまとめ
スクリーニングをせずに検査だけをすると、本当に病気にかかっている確率がかなり低く、多大な労力をかけてした検査が有効でない
PCR検査の精度もそれほど高くないため、希望者全員にすれば実際に病気になっているけど陰性とだたり、病気になっていないけど陽性と出ることもあります。
医師が検査の必要なしと判断した場合は素直に聞き入れてください。ただでさえ最前線の医師および医療関係者は疲弊しきっていますので時間を奪い、本当に治療の必要な人の時間を奪わないでください
本格的な医療崩壊が起こると、今亡くなる人も増えますが、将来医療従事者のなり手が減り、マンパワー不足で将来の命も救えなくなる可能性があることを理解して行動してください
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報は内閣官房のHPを参照してください