CT画像診断の見落とし問題を現役の放射線技師が考えてみた。②

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こんにちはフミです。

今回は家創りでも四国の事でもありません。

タイトルを見てもらえればわかると思いますが、CT画像診断の見落とし問題を、現役の診療放射線技師が考えてみました。

前回はとりあえずCTやMRIの検査数に対して放射線診断専門医が足りないことを書きました。少ないのは事実ですが今回の問題の本質はそこではありません。

今回は、CT画像見落とし問題を現役の放射線技師が考えてみました。日本はCTやMRIの台数が人口比で一番多い国です。しかし、検査の件数は実は一番ではありません。ですが検査の数はかなり多いのですが、画像を読影する放射線診断専門医の数が少なすぎて負担がかなり大きいのが現状です。

今回はその問題が起こる原因を放射線技師が考えてみました。

考えられる理由として

  1. システム上の問題
  2. 放射線診断専門医と主治医のコミュニケーション不足
  3. 主治医の専門外の科の知識不足

だと私は考えます。これらを説明して解決方法を書きます。

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システム上の問題

システム上の問題は2つあります。1つは「電子カルテ上でレポートをチェックするところがない」もう1つは「CTやMRI撮影後レポートまでの時間がかかる」ことです。

1つ目の「電子カルテ上でチェックするところがない」これがあれば最近の画像見落とし問題の8割ぐらいは起きてないのではないかと思います。

電子カルテを少し変更し主治医は必ずレポートをチェックする仕組みづくりをすればいいのではないかと放射線技師としては思います。

2つ目の「CTやMRI撮影後レポートまでの時間がかかる」CTやMRIの撮影終了後、なるべく早くレポートが提出されていれば、レポートをチェックされていたかもしれない。

解決策は圧倒的にマンパワー不足なので放射線診断専門医の拡充とAIの活用がすすめばある程度解決するのではないかと思います。

放射線診断専門医と主治医のコミュニケーション不足

次にコミュニケーション不足が考えられます。大きな病院ほどコミュニケーション不足が起こっていると思います。基本的には病院は縦割りの組織がほとんどです。

もし、放射線診断専門医と主治医の連携があれば、連絡を取り合ってこのような事態は起きなかったかもしれません。主治医としてはそれぐらい連絡入れてほしいと思っているのではないかと思います。しかし放射線診断専門医にしてみればそんな時間はないしレポートを書いてるのだからそれを読んでいればと思っているのではないかと思います。

解決策としして考えられるのは、放射線診断専門医と主治医の連携を密にとり、日頃からコミュニケーションをはかることが必要ではないかと思います。また主治医は検査目的などをしっかり書き、不明な点がある時は直接、放射線診断専門医に聞くことも必要ではないかと思います。

主治医の専門外の科の知識不足

放射線技師が言っていいものかはわからないが専門外の科の知識不足が考えられる。その前に単純な確認ミスや、レポートをしっかり読んでない可能性も否定できませんが・・・

CTやMRIぐらい放射線診断専門医のレポートなしでも全部わかるというおごりがある主治医がいるのかもしれません。専門領域の関しては放射線診断専門医よりしっかり読影することができる主治医もいるとは思います。しかし専門外の領域は放射線診断専門医には敵わないことが多いのではないなと思われます。さらには、CTやMRIで写っているすべての部分をスクリーニングする能力は一日に何十件も読影している放射線診断専門医に敵わないのではないと思います。

解決策としては、主治医がしっかりチェックすることに尽きると思います。

また今回の問題は外来診療で起きています。外来診療では主治医が一人で検査結果を見て判断することが多く、ダブルチェックするというようなことはほとんどないのが実情です。

なぜいろいろな病院で起きているのか

CT画像の見落とし問題の原因と対策を書いたが、なぜ様々な病院で同様の見落としが起こるかを考えてみる。

一番の理由は、問題が起これば対策するのは「病院単位」でしかされないことだと思われます。重大な医療事故が起これば厚生労働省から各病院に「こういう医療事故がありました、気をつけましょう」というお知らせをします。

2012年に日本医療機能評価機構からのお知らせがありました。

このようなお知らせが出ていたにもかかわらず、自分が働いている病院は大丈夫だと思い対策を打たなかったのではないかと思われます。

そして対策がされてない病院があったから第2報という形でまたしても日本医療機能評価機構からお知らせがきました。

病院間の情報共有がなされていない

病院間で情報が共有されていないので、「他山の石」としてもっと他の病院の事例から学ばないといけない。しかし、現状は病院ごとに様々なルールがあります。病院ごとにルールが違うので対策も病院ごとに変わってきます。

さらに病院内でも病棟や科が違えばルールが変わることもあります。

まとめ

放射線技師の勝手な意見ですが、今回報道された病院は氷山の一角かもしれません。すべての病院がしっかり調査すればまだまだでてくるのではないかと・・・。ある意味今公表している病院は透明性が高いのではないかと思われます。

病院ごとの対策は非常に難しいので、厚生労働省などがガイドラインを作り、このような問題が起こらないシステムの構築の必要があると思います。

さらに現状でそれぞれの病院で電子カルテなどのシステムは違うのですが、これもできないとは思いますが、日本全国同じシステムを用いることで、それぞれの病院間のデータも共有できますし遠隔診断、遠隔治療も発展するのではないかと思われます。

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